牧野邦夫さんのことは正直よく知らなかったんだけどたまたまみかけたHPでの展覧会の絵を見て時間がありそうなので見にいった

アル中の先輩でデザイナーの人も誘ったら来てくれることになったので一緒に見にいった
レンブラントに影響受けたって言ってるので西洋絵画的な絵を超絶技術力で描く画家なのかなと思ってたけどそれだけじゃなかった
もちろん超絶技術も持ってるんだけどそれ以外にも日本がの手法を取り入れたりしている意欲的な画家で作品としては現代的でおもしろかった
むしろ75年くらいから現代アートを描いていて今の画家の方が技術力が無い分だけ負けてるじゃんよ的な
朝日ジャーナルに掲載された自稿文1977.3.4
「僕は古い絵が好きだ。現代美術は僕の魂をゆすってくれない。昔の絵は技術が凄く深くて力強く、誰にもわかって面白い。今の絵は分からない絵が多くて、こちらが劣等感を感じてしまったり、分かる絵は技術が浅くてつまらないものが多い。だが、そんな今んの絵から、僕は昔の絵にない自由を教えられた。何をやってもいい、というデタラメのような自由と冒険の旅の精神だ。写実という古い技法を使って自分を表現したいという僕の仕事も、現代の自由と冒険の心に支えられている。それがなかったら、この孤独の作業はとても続けられないし生きれない。」
にすべてが凝縮されていますね。
俺と友人は順路を間違って先に年代順の絵を見ていって「未完成の塔」を最後に見たのも運が良かったかもしれない 順路が合ってたかもしれないけど
最初は60年代後半の階から見始めたので割と技術的に成熟してからの作品から見始めたので初期の頃からどんどんうまくなっていくねえ的な感想ではなくて、最初からこの人はスゲエ技術の人ってところから出発できた
なのでレンブラントあたりだと「光と影」と「手のデッサン(笑)」的なものを最初から期待していたとおりに楽しめた
ポスターでも手がそんなんになってて一緒に「やっぱ俺のテクニックスゲエだろ?的な絵がたっぷりだねえ」と話していた

この「静物」って絵なんか実際に糸を貼り付けた下に油絵で糸を描いていて「俺の絵って実物と見分けがつかないだろ?」的な絵に見えた
そういう遊び心あふれた作品のあとで「男児」とか

「キリシタンの死」みたいな大作で驚かせてくれました

下の絵なんて左が地獄絵図で右が屏風絵的な手法で地獄と仏の世界を描いています 割となんでもありです スゴイ しかし正当派西洋絵画!片方だけなら割とあるけど両方持ってるのは特別な存在ですね
なので代表作っぽい「武装する青年」なんて全然普通の絵に見えます(;´Д`)

公式HPは代表作に掲載する作品を間違えています
そして「海と戦さ」
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「インパール」

大判で絵物語を描いてくれます
「海と戦さ」は平家物語の壇ノ浦ですかね 平家物語が文字として書かれていたり洋画の肉体であったり日本画的な俯瞰図であったりです テクニカルなのにそれだけじゃなくて見てみておもしろい!ワクワクです
インパールは技術というよりもはだしのゲン的な死体描写の暗さと勇ましい兵隊の炎とのコントラストもいいですね
他にも大判の絵物語も多くて話の内容を知っていたらもっと楽しめただろうになあとちょっと残念なところも(;´Д`)

右の絵なんか金箔使ってその上に青と赤で斬って捨てた解剖図で日本刀ですよ!(;´Д`)西洋なのに日本画でシグルイ!ちょうカッコイイ
なので他に見た裸婦像などが売るための商業的な絵にしか見えなかったり(;´Д`)

このほかにも写実的で肌の質感とかスゲエんですよ(;´Д`)
60年代は西洋美術的な肌の感じをリアリティを持って攻めてくるんですけど
70年代に入ると今度は写真のフィルムを通したあとの青白い肌色!を表現してしまうと言う超絶技法で描いてくれます もう写真です もう写真を撮った方が早いんじゃないか?です というよりも80年代のヌード写真を先取りしすぎです まだ75年とかでそんなです むちゃくちゃうまいです 裸婦像なんかはあんまりテーマ的なものはないので技術だけで圧倒です でもそれだけなのがもったいないかなあ 裸婦像はスゴイのにスゴイだけと思わせてくれる多彩な作品群です
逆にいろいろ詰め込みすぎて訳が分からなくなってるモニュメント的な絵もいっぱいありました
「人」シリーズですね

聖書的?とも思ったんですけど果実ではないのでちょっと違いますね
オペラ的なものを狙撃手が狙ってる絵もあって本当はそっちの方が訳が分からないんですけど

複雑すぎて俺には個別に見ていくしかしかない(;´Д`)
背景に言えるところにまで書き込みがスゴイ もう力量に圧倒で何も出来ませんでした 完敗です(;´Д`)
「海と戦さ」的にスパっと切ってくれません 負けました
そして絶筆の「不思議な世界に住む絵描きとモデル」です
死んでも描き続けますという宣言です(;´Д`)

実は鳥の塗りなんかはもう絶筆なだけあってちょっと甘いんですけどこの人物の青白い肌(;´Д`) 死の肌色まで再現は譲らない!
そして閉館時間が迫ってきてしまって急いで下の階の若い頃の絵を見て「まあ若いねえ」と
最後に「未完成の塔」ですね(;´Д`)

コレ一番の目玉なのかもしれないけど一番最初に見せちゃダメですよ(;´Д`)
いやむしろ一番最初に見てももう一回見に戻ってきてくださいなのかな
ここに置いた絵も小さいんですけどそこに描かれてる人物も小さくてこの調子で最後まで描かれたらウォーリーを探せになってしまいます
地面が「生」で一階が「死」で2階が未完成の「地獄」でその先が未完成です
そしてその名の通りまだ未完成でサグラダファミリア的です
でもこの絵で完成してると思います
10年で一階を描くという話でしたけどもう地獄の先は見えないんじゃないでしょうか?
これ以上描いてしまうと作品の構図のバランスも悪くなってしまうし
それで絵から飛び出た塔の先ですね
未完成で見えないのに絵の外まで見えてしまうと言う二律背反もいいですね
最後に見て良かったと思いました(;´Д`)
牧野邦夫さんの人生の集大成的に見えました
でもまあ俺の好みは絵物語が一番でしたね(;´Д`)
本当に見てるだけで楽しい わかりやすいです
湧き出るイメージが楽しい絵が好きだったりしますけどやっぱりおもしろいです
最後にデザイナーの人と一緒に行けて自分では気がつかなかったことを指摘してもらったり感想を話し合っていけてその話の中から見つかる発見があったりしてとても楽しかった
額縁の遊びとかはデザイナー的な視点もあって俺だけじゃわかりませんでした
会場に着いたの2:30だったけど閉館までの3時間半じゃ足りなかった
最後駆け足だったよ(;´Д`)
充実した時間を過ごせました
18:30に家について今まで図録見ててもう感想書いてもう23:30だよ
イニングイーターすぎる(;´Д`)
図録3300円と入館料500円で3800円でお買い得ですよ!
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